告白/湊 かなえ

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2009年本屋大賞受賞作

どうしても事前の評価が高いとうがった読み方をしてしまうからなぁ。
もっと話題になる前に読んでおけば、すんなり楽しめた気がします。

ミステリとしてはそれほど大きな謎があるわけではありませんが、
現代の日本の教育問題を絡めながら、
すこし背筋が寒くなるような物語です。

本屋大賞として、内容的にこれがみんなに読ませたい物語なのかという批判もあるようですが、
それ以前に大賞をとるほどの物語かなぁという感じです。

もちろんデビュー作であることを考えれば、よく書けているとは思います。
それぞれの登場人物の独白であったり、日記であったり、電話の会話であったりと
「告白」の形で全ての章が構成されています。

でも、多分この「告白」という形は文章にしやすいんですよね。
そこに作者の表現力のなさが露呈されてしまっている。
ただ、そこを自覚して、あの構成に作り上げたのであれば、
それはある意味才能だし、今後に期待したくはなります。
どんな作家でも、表現力は作を重ねる毎に向上していくものだし。

それから、例の病気について。
最後の方にあれくらいでは感染しないということがちらっと書かれてはいるけど、
もう少し配慮すべきではないかなぁ。