殺意は砂糖の右側に―痛快本格推理 祥伝社文庫―天才・龍之介がゆく!/柄刀 一

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柄刀氏は、本格の王道を行く作家だなぁと改めて感じる短編集であった。
たった1つのトリックから、物語が練り上げられ、1つの作品ができあがる。
その美しい流れにうっとりとしてしまう。

前から書いているように、あまり短編は好きではないのだが、
その理由の1つは、短編だと、昨日NHKで放送された「探偵Xからの挑戦状」のようなクイズとの違いがはっきりしなくなってしまうことがある。
クイズではなく、小説としての面白さをしっかりだしてほしいのだ。

そういう意味では、この作品はトリック重視ではあるものの、
連作とすることで、全体として物語が構成されており、
先への興味を失わせない。

今後、龍之介がどうなっていくのか、そして、どう成長していくのかが楽しみだ。