水魑の如き沈むもの (ミステリー・リーグ)/三津田 信三

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第10回本格ミステリ大賞候補作

奈良の山奥の村で行われる雨乞いの儀。
しかし、その儀式には様々な因縁と思惑が交錯し、
当然のことながら、事件は起こる。

横溝的と形容されることが多いであろうが、
このシリーズも巻を重ね、
標準以上のミステリとして評価されてきていることから、
もう三津田氏独自の世界観と言っていいかもしれない。

私はまだシリーズ全作を読んだわけではない。
本来なら順番に読みたかったところだが、
今回本作が本格ミステリ大賞候補作にノミネートされたため、
政宗九氏のインターネットで選ぶ本格ミステリ大賞の選考に参加すべく、
先に本作を読んでしまったわけだ。

そういった評価する気持ちをもって、読んでしまった影響もあるのかもしれないが、
候補作としていささか物足りなさを感じてしまった。

過去の事件とのリンク、
そして、現在の事件の謎。
その提起は非常に魅力的である。

しかし、その解決があまり美しくない。
つまり、論理的とは思えないのである。

さらに、伏線と思われた出来事も未回収のまま。

怪奇小説であればよいのかもしれないが、
本格ミステリとしてはいかがか。。。