掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南 (講談社ノベルス)/輪渡 颯介

¥840
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第38回メフィスト賞受賞作

怪談とミステリの融合。
意外とよくある組み合わせのような気もする。

しかし、細かな怪談話を組み合わせることにより、
場面の入れ替わりは激しいものの、
物語はリズミカルに進み、
最終的に論理的な解決に結びつける形は見事。

次作も読みたくなる作家である。
ゾラ・一撃・さようなら (講談社ノベルス)/森 博嗣

¥945
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ひさびさにブログ書いたら
アマゾンからの引用がしやすくなってる。
これはいいね。

森氏の作品を読むのも久しぶり。
珍しく恋愛ものとも言える作品。
最近の森作品の傾向通り、ミステリとしては弱いけど
全体としては楽しめました。

他のシリーズとも関わっているみたいだけど、
もうだいぶ忘れてしまっていますね。
まぁ、彼が彼なんだろうなという感じ。
時間ができたら、全部を再読したいなぁ。
Another/綾辻 行人

¥1,995
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いつものことだが、綾辻氏ひさびさの新刊である。
先週末にはサイン会も開催され、至る所で傑作との評判である。
暗黒館、びっくり館、深泥丘と、私自身は十分に楽しんで読んだのであるが、
世間の評価は意外と低く、ファンの一人としては忸怩たる思いがあった。

そして、本作である。

少しでも、物語について紹介してしまうと
まだ読まれていない方に、いらぬ先入観をあたえてしまうかもしれないので、
多くは語らない。

一言だけ、

この作品は間違いなく、綾辻氏の代表作の1つとして読まれ続けられるであろう。
殺意は砂糖の右側に―痛快本格推理 祥伝社文庫―天才・龍之介がゆく!/柄刀 一

¥600
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柄刀氏は、本格の王道を行く作家だなぁと改めて感じる短編集であった。
たった1つのトリックから、物語が練り上げられ、1つの作品ができあがる。
その美しい流れにうっとりとしてしまう。

前から書いているように、あまり短編は好きではないのだが、
その理由の1つは、短編だと、昨日NHKで放送された「探偵Xからの挑戦状」のようなクイズとの違いがはっきりしなくなってしまうことがある。
クイズではなく、小説としての面白さをしっかりだしてほしいのだ。

そういう意味では、この作品はトリック重視ではあるものの、
連作とすることで、全体として物語が構成されており、
先への興味を失わせない。

今後、龍之介がどうなっていくのか、そして、どう成長していくのかが楽しみだ。
スロウハイツの神様(上) (講談社ノベルス)/辻村 深月

¥893
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スロウハイツの神様(下) (講談社ノベルス)/辻村 深月

¥987
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これはすごい!!
ひさびさに鳥肌の立つ作品に出会えた。
やはり、これがあるから読書はやめられない。

デビュー作から、辻村氏の展開のうまさ、文章の美しさは評価していたつもりだったが、作を重ねるにつれ、ますます磨きがかかっていると思われる。

赤羽環という脚本家が譲り受けた元旅館の建物に
その友人や仕事を通じた知り合いを住まわせる。
ほとんどの住人が何らかのクリエーターであり、
スロウハイツと名付けられたその住まいは、かのトキワ荘を思い起こさせる。

物語は赤羽環の友人であり、漫画家の卵である狩野壮太を中心に
様々なその住人の視点で描かれ、ある意味淡々と進んでいく。

ちょっとした謎はあるものの、あまりミステリらしくはない。
しかし、最後まで読み終えたとき、その構成の見事さ、伏線の回収の仕方に舌を巻き、上質なミステリであったことに気づかされるだろう。

2年前の作品ではあるが、こういう作品こそ本屋大賞に相応しい気がする。
告白/湊 かなえ

¥1,470
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2009年本屋大賞受賞作

どうしても事前の評価が高いとうがった読み方をしてしまうからなぁ。
もっと話題になる前に読んでおけば、すんなり楽しめた気がします。

ミステリとしてはそれほど大きな謎があるわけではありませんが、
現代の日本の教育問題を絡めながら、
すこし背筋が寒くなるような物語です。

本屋大賞として、内容的にこれがみんなに読ませたい物語なのかという批判もあるようですが、
それ以前に大賞をとるほどの物語かなぁという感じです。

もちろんデビュー作であることを考えれば、よく書けているとは思います。
それぞれの登場人物の独白であったり、日記であったり、電話の会話であったりと
「告白」の形で全ての章が構成されています。

でも、多分この「告白」という形は文章にしやすいんですよね。
そこに作者の表現力のなさが露呈されてしまっている。
ただ、そこを自覚して、あの構成に作り上げたのであれば、
それはある意味才能だし、今後に期待したくはなります。
どんな作家でも、表現力は作を重ねる毎に向上していくものだし。

それから、例の病気について。
最後の方にあれくらいでは感染しないということがちらっと書かれてはいるけど、
もう少し配慮すべきではないかなぁ。
神の守り人〈上〉来訪編 (新潮文庫)/上橋 菜穂子

¥540
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神の守り人〈下〉帰還編 (新潮文庫)/上橋 菜穂子

¥580
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いつ以来なんだか、自分でも分からなくなるくらいだが、
なかなか読書ができず、当然更新もできなかった。
読書の時間は作ろうと思えばあったのだろうが、余裕がなかった感じ。

久々に出張が入り、新幹線の中で読書の時間が作れたので読了。
ミステリじゃないのかよっていうツッコミはなしでお願いします。

意外と文庫化のペースがゆっくりですよね。守り人シリーズ。
既に完結してるんだから、早く出して欲しい。

今回の物語は、また別の国の伝説から始まります。
そして、その国の騒動にバルサとタンダが巻き込まれ、
(いや自分から首をつっこんだのか)
危険な旅をするはめに。

物語の面白さは相変わらずだし、ぐいぐい読ませる雰囲気もさすが。
ただちょっと似たような展開なだけに、食傷気味かも。

ラストがなんとなく後味の悪いまま終わるので、
きっと今後に繋がっていくのでしょう。
次の文庫化を待ちたいと思います。